バードの麻雀雑記帳

天鳳(チャオってなければ鳳南に居ます)やその他の麻雀記事を集めた雑記帳です、乾きまくった麻雀砂漠に水を掛けてやりたい…

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ラストスマイル 第8話

インターネットを自宅に入れてよかったと思うのは無料で麻雀が打てることだ、しかも味気ないCPU戦ではなく人間と打てるのがいい。

このサイトでネット麻雀を始めて以来、家に居るときはよく打っている。段位が少しずつ上がっていくというシステムもアツくさせる、だが家では寝てばかりで最近はあまりやっていない。

宣言通りオレから打ち始めた、アリアリの東風戦を選ぶ。

「愚仕掛けをする」なんて言ったものだからガチャガチャ仕掛けまくる、そして十五分くらいであっという間にラスを食った。

「あちゃー、○○だったらこれで一万くらい溶けてるね」

某東風戦の店の名前を出す、彼女はクスッと笑う。

こう言ってみると確かにその通りだと思う、たった十五分で一万くらいが動くレートというのは随分と高いものだ。

卓に着いている時にはもはや金だという感覚すらない、どこで<麻痺>してしまったんだろう?

「普段ってああいう仕掛けしないよね?」

ふと、彼女がそう聞いてきた。

「あぁ、うん。仕掛けるって言った手前カッコつけたくてやってみたんだけど…、ダメだったね」

オレは肩をすくめて見せた。

「普段と違うことをしてたら練習にならないんじゃない?」

彼女の言葉は全くもって正論だった。

「そうだね…、じゃあ替わるよ。どうぞ」

パソコンの席を譲る。

「じゃあ頑張ろっかな、私は普通に打つよ」

そういうと慣れた操作で対局を始める、どうやら初めてではないようだ。

「あっそういえば音楽掛けてないから調子悪いんだよ、ちょっとI tunes起動して」

オレがそう頼むと彼女がアイコンをクリック、いつも通りランダム再生で音楽を流し始める。

このパソコンには一から再生すると丸一ヶ月掛けっぱなしじゃないと聴き終わらないくらいの音楽が入っていた。

「あっ、この曲いいよね。私邦楽って聴かないけどこの人たちって好きだな」

偶然掛かった曲に彼女が反応する

「あぁ、オレも好きだよ」

掛かったのはラブ・サイケデリコの<ラストスマイル>だった。

パソコンに入っているのは彼らのファースト・アルバムでその名も「グレイテスト・ヒッツ」というファーストとは思えない作り手の自信を感じさせるもの。だがその自信に全く負けることもなければ捨て曲もない、文句なしの名盤だった。

「マイナーのコード進行の王道って感じの曲だよね、それに詞の世界観も物悲しくって気に入ってるんだ」

音楽の話になると饒舌になる、その日のオレもそうだった。

「うんうん、他の曲もいいよね。あぁ…三位だったか、ダメだね」

そんな話をしていると対局は終了、彼女は奮戦するも3位。

「ほとんど手順はオレと一緒だったな、東二のリーチ負けが全てだよね。枚数も互角くらいだろうけど先につかんで高いの打ったらまぁ負けますよ」

最善を尽くしてリーチを掛けたなら後は先に自分のあがり牌が裏返しになっているのを祈るだけ、後は何も出来ることはない。

麻雀って詰まる所そういうゲームなんだ、今更のように思う。

「そんな酔ってる訳でもないのにね、君打つ?」

そう聞かれるが

「今日はこれ以上打ってもいい成績残せそうもないよね、麻雀はやめにしよっか?あっ、そういえばネット番組で麻雀あったな、それ見てみない?」

正直お腹いっぱいだったのでそう提案した。

「へぇ、そんなのあるんだ。うん、見てみたい」

番組サイトを開くと女性プロの対局動画がアップされていた、その動画をスタートする。

華やかなドレスを纏った四人の女性が卓を囲む、それだけで<絵>になる動画だな、そんなことを思ってた。

「てかなんでこんな長い爪で打ってんの?プロならスパーンって切って欲しいよね」

映像を見ながら彼女が言う、確かに日常生活にも支障を来たしそうな長い爪で牌を恐る恐る扱うかのような摸打だった。

「はいそこでノータイムで四切って…、あぁ、カンチャンの受け無くしちゃったよ」

同性だからだろうか?彼女の視点は若干厳しいように感じられた。「女の子と居るのが嫌い」と言っていた、そのことも関係しているんだろうか?

そして―

「ねぇ、今の見た?何あの2ピン切り?」

あるプロの打った一打はシャンテン数が下がる割に間口がとても広がるものでもない、場況に何の変化もない以上理由を聞かれても多分答えられそうも無いもの。そう、明らかな失着だった。

「あぁ…、テレビカメラがあるから緊張してんじゃないの?」

そんなコメントをする、テレビカメラの前で麻雀を打ったこともないのにその気持ちも考慮しないで無遠慮なことを言うのも違う気がしていた。

だが、一方で衆人環視の中で力を発揮してこそのプロだとも思う。

様々な思いはあった、しかしオレがプロを擁護する必要も全く無いためそれ以上は何も言わなかった。

「こんなプロだったら私でもなれそうだよね、ねぇ、これもう消していい?ちょっと調べたいことがあるんだ」

そう言うとオレの返事を待たずに動画を切ってしまった、そして麻雀プロ団体のホームページを検索する。

「あっ、ここ試験一ヶ月後にあるよ。」

ある団体のページを見て彼女が言った。

「どれどれ?あっ大手じゃん」

オレでも名前を知っているとこだ、自団体の対局に汎用性のあるルールを採用してある所だった。

「ペーパーテストと実技と面接だって、じゃあ勉強しなきゃ。ふふ、なんか大学入試みたいだね」

すっかりその気になっている。

「麻雀プロって儲かるのかなぁ?」

また飲み直したカンパリのグラスを傾けながら聞いた。

「前に雀荘にプロって人来ててさ、言ってたんだけどお給料とかって無いみたいだよ」

「えっ、じゃあ対局料っていうの?ファイト・マネーみたいのをいっぱい貰えるとか?」

「特にそういうのも無いみたい」

「ん?どうやって生活するの?」

「みんな雀荘とかに勤めてるみたい」

「なんか…じゃあプロって肩書きにあまり魅力を感じないな」

「まぁ受けるだけ受けてみようかなって話、合格するかどうかも分からないしさ」

「あぁ、そう…?」

オレが彼女の生き方に積極的に干渉する必要も無ければそんな権利もない、そんなことは分かっていた。だが特段メリットのないことを敢えてやってみようとすることに疑問のようなものを感じていた。

「この件は追々詰めるってことで今日はもう寝ませんか?実はずっと眠かったんだ」

「う、うん。じゃあもう寝よっか」

一方的に話を中断したようで悪いなと思いつつ、もう少し頭のはっきりした時に自分の意見を言いたいとも思っていた。

実際本当にもう眠い。

簡単に寝る仕度をする、そして部屋のシングルベッドに二人で横たわる。

明かりを消した、特に会話も無い。

「君は…私がプロになったら嫌?」

不意に彼女が聞く

「その話は今日はもういいだろ?」

オレは、そう言って彼女にキスをした。

「急にどうしたの?」

暗闇の中また聞かれる。

「実はね、アウトローなんだ」

そう言うと

「やっぱりね」

と返された。何も見えなかったが彼女は笑っているように思えた。

「おやすみ」

「おやすみ」

どちらからともなくそう言うとそれ以上会話は無くなった。

やはり―、彼女は言い出したら聞かないタイプのようだ。何て言おうか?まぁ明日でいいか、もう―眠い…。

その日我々は、プラトニックな夜を過ごした…。
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