バードの麻雀雑記帳

天鳳(チャオってなければ鳳南に居ます)やその他の麻雀記事を集めた雑記帳です、乾きまくった麻雀砂漠に水を掛けてやりたい…

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嬢との麻雀 エピローグ

「あぁ、にっ君とか言ったっけ?彼がどうしたの?」

既に「モトカレ」だというし「アイツ」呼ばわりだから良くは思ってないだろうけど彼女に聞いた。

「麻雀で<イカサマ>使ってたんだよ、私たちそれでずっと負け続けてたんだから」

予想は出来た、やはりオレにめくられたからと言って懲りた訳ではなかったらしい。

「イカサマ?じゃあオレらと打った時も使ってたのかなぁ。あっ、あん時はオレが勝ったからそれはないか」

大げさに驚いたようなアクションを入れる、白々しい芝居だった。

「ね?なんであの時は使わなかったんだろ。ひょっとして鳥居君気付いてたりした?」

彼女は心底不思議そうな顔をして聞いてきた。

「いや、そんな素振りはなかったと思うけどなぁ。それよりどうして発覚したんだろ?」

少しだけ胸が痛む、だがここで本当のことを言ったら余計おかしなことになる。芝居を続けた。

「それがさ、冗談じゃ済まない人にイカサマ使ってバレちゃったらしいよ」

冗談じゃ済まない、ね。

「なんかおっかない話になってきたな、それで彼はどうなったの?」

「さぁ、けどきっちり<ツメ>られたんじゃない?私も何回もイカサマされてただろうからムカつくけど…まぁいいや、お金しか無くなってないから」

嬢っぽいんだが彼女は驚く程金に対する執着がない、それに彼女が納得しているのならこの話は終わりでいいのかもしれないなと思う。

「イカサマでいくら儲けたか知らないけど制裁を受けた訳だ、因果応報ってあるんだね…」

「なぁに、それ?まぁあんなヤツなんてどうでもいいよ。それより早くご飯でも行こう、鳥居君何食べたい?お姉さんが何でもご馳走してあげる」

それにオレが気にしたところで何になるという訳でもない、もう二度と会うこともないだろう。

「そうだな、前菜に地の滴るようなステーキでも食べて…メインディッシュはアキナちゃん、もちろん君さ。あっオレだって昨日麻雀で勝ったからたまにはご馳走するよ」

薄暗い記憶を無理して明るく振舞うことで追い出そうとする、飛びっきりの笑顔で言った。

「ふふ、何言ってんの?会計のことは別にいいって、お姉さんに任せない!ほら、行こう」

彼女に手を取られ暗くなりかけた街を歩く、あの時麻雀を打ったビルの近くを通ったけど―

もう、特に何の感慨もなかった…。

 
--

結婚式でアルバムを貰った、なので昔の写真を整理していたら彼女の宣材写真が出て来た。専門誌に出るために撮ったものらしい。残念、というべきか洋服を着ているものだけど当時のことを思い出すきっかけになった。

あれから年月を重ね歳も取った、あの頃と同じことはもう出来ないだろうけど何とも懐かしい。

大事な何かが鈍磨していくような今、失くした何かを取り戻すような気分になりたくって記念に書いておくことに。


また何か思い出すようなことがあれば書いてみたいもの、終わる終わるサギな駄文でしたが最後まで読んでくれた方に感謝です!!


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嬢との麻雀 終結編

オレがサイコロ振ると出た目は「6」、下のアキナちゃんの山から取り出すことになる。

配牌を取っていつも通りラフに理牌、女の子たちは一生懸命並び替えている。

そんな様子を見ながら対面の彼をチラと見やると山を前に出しているところだった、だが左端から4枚を持って来て自分の手牌にくっつけたのをしっかり見た。

「あぁ…、やっぱりこういうことだった訳ね」

偶然性の高い麻雀というゲームで「無敗」を誇っていたと言う、だがタネが分かってしまった。そう、彼は単なる「イカサマ師」だったのである。

今回の手口は配牌から不要牌を4枚持って来て2枚ずつ重ねる、そして山を前に出すフリをしながら右端にくっつけて今度は左端から4枚を持ってくる。確か「ぶっこ抜き」というものだった。

彼の不正をめくって(暴いて)しまおうかとも思う、だが現場を押さえた訳ではない。女の子たちは麻雀が楽しくて仕方ないという様子でゆっくりだが懸命に理牌をしている、なんだか胸が痛くなった。

結局―、何も言えぬまま数巡が過ぎる。

彼は2枚ツモったりしている、左手に握りこんでいるようだ。すると―

「おっ、いいとこ入ったな。リーチ」

と言って曲げてきた。

「えー、早い。にっ君のリーチに私よく一発で振り込むんだよねぇ」

アキナちゃんがそんなことを言う。

「ちょっと恐いけどえい!」

そして無筋を打つと

「あちゃー、それ一発だよ」

と言って理牌をする仕草をしてから彼が倒した、カンチャンに一発で飛び込んだことになる。

だが、今回もオレは見ていた。彼は左手に1枚隠し持っていてあがった状態でリーチをしているのである、フリテンさえ気をつければ手牌の何を切られても当たれることになる。「握りこみ」というイカサマだ。

「あぁ、ホント一発で打つなぁ」

アキナちゃんは全く気付いていない。

「へぇ、意外な待ちですね」

オレはわざとらしいくらい抑揚を付けて言った、彼の左手を掴んでしまえば牌が出てくるはずなのだが勇気がなくて出来なかった。

情けない話だが対局中にイカサマをされたのが初めてで正直困惑していた、だからせめて出来るのが「オレは気付いているんだぞ」というプレッシャーを彼に与えるだけだった。

それから―、彼は懲りずにまた色々なイカサマを仕掛けてきた。河から牌を持ってくる「拾い」やロン牌を山に置いてしまうという「置き」、まだ分かっていないとでも思っているようだった。

これは…そろそろ釘を刺さないとダメか。

配牌時、彼がぶっこ抜きを仕掛けようとすると「ちょっとシーちゃん山を前に出して貰っていい?」と言ったり彼がリーチをすると「アキナちゃんは上ヅモだよね?ここにロン牌がありませんようにってジッと見ながら祈れば当たらないよ」と言っては彼を正面から見据えてやった。

そして、とどめに

「オレには師匠って人が居てさ、前イカサマ技を見せて貰ったことがあるんだ。自動卓だからってイカサマがない訳じゃないんだって。それで彼が言うにはさ「いいか、絶対使うんじゃねーぞ。見つかったら何されても文句言えないんだからな、変な話片腕取られたってしょうがないんだからな」って言ってたんだよ」

こんな話をしてやった。

「やだー、こわーい」

「どうしてそんな話するんですかー?」

女性陣は口々にこんなことを言っていたが対面の彼はあからさまに狼狽しているのが見て取れた。

それ以降―、彼がイカサマを仕掛けてくることはなくなった。

「クソッ、何なんだよ!」

とイライラしながら牌を雑に強打し始める、その瞬間勝ちを確信した。イカサマは封殺してメンタルも正常じゃない人に負けることもないだろう。無敗の雀士敗れたり、だ。

彼はよほどイカサマに頼っていたんだろう、簡単なイーシャンテンの選択すら間違っていた。その間隙をぬってあがりを重ねることが出来た。



約束の5回が終了、結果はオレの1人勝ちだった。

「アキナちゃんの彼強いね、またお願いします」

「彼」という呼び方に少しだけドキッとしつつ

「こんな高いレートじゃ厳しいですね、安いレートなら喜んで」

と返しておいた。

精算も済んでさて帰ろうかと思っていると彼が「ちょっといい?」と言って外の方を指差した。

「やっぱり来たか」と思いつつ外へ。

外へ出ると彼がタバコを咥えながら

「アンタ強いね、どうして分かった?」

こんなことを聞いてくる。

「正直言うと見え見えですよ、女の子相手だったらバレないかもしれないけどすぐ分かりましたね」

思ったとおりを答えてやった。

「アイツが最近金寄こさなくなったんだよ、だから麻雀で取ってるだけ。元々オレの金みたいなもんなんだからいいだろ?」

ムチャクチャな理屈だ。

「じゃあアキナちゃんは関係無いでしょ?今後彼女にイカサマ仕掛けたらバラさなきゃならなくなるんで」

と宣言してやった。

「何でよ?アンタ彼女と何の関係も無いだろ?」

なおも食い下がる。

「まぁ…、そうだけど知り合いになっちゃったら見過ごせないから」

「分かったよ、もう彼女とは打たない。なぁ今日の金半分置いてってくれないか?あの金無いとマズイんだよ」

今度はこんな話をしてきた。

「イカサマ使えなかったからって返さなきゃいけない理由はないでしょ?」

こう言うと

「なぁ頼むよ。オレは○○さん知ってんだぜ?」

恫喝するようなことを言う、オレはその某さんは知らなかったが彼の後ろ盾のような人だろう。

「あれ、そんな話するの?じゃあオレだって佐藤さん知ってるけど」

ノータイムでこんな返事をすると彼は露骨にうろたえているようだった。

「チッ、佐藤さんの知り合いか。分かったよ、もう帰っていいよ。」

「じゃあ、もう打つこともないだろうけど」

こんなやり取りがあってようやく解放された。

ちょっと恐かったけど助かった、佐藤という友人は居るが彼が畏怖するような佐藤さんは知らない。この日、唯一出した渾身の<イカサマ>が思いの他功を奏したようだった…。



その後、アキナちゃんとオレは普段入れないような高級焼肉店に行った。

今日はどんだけ飲み食いしても払える、ビールを浴びる程飲んだ。

「アキナちゃんさ、もうあそこでは打たない方がいいよ。いや、あそこっていうか彼とは打たない方がいい」

「どうして?」

「うーん、なんというか…。麻雀は自分より強い人と打っちゃダメだよ、彼無敗だったんでしょ?そんな人とは打たないに限るって」

冗談めかして言った。

「でも鳥居君はその彼に勝ったよね?」

「あぁ、今日はね。たまたまだよ、明日オレはアキナちゃんと打てば負けるだろうし。けど麻雀ってそういうゲームだと思うなぁ」

そしてこんなやり取りがあった、イカサマの話をしてもよかったんだけど無用なトラブルもゴメンだった。

「今日の鳥居君カッコよかったなぁ」

彼女が少しウットリしたような顔で言う

「そう?嬉しいなぁ。実は今日見せたのはオレの一端でしかないんだよ」

「ホント?私鳥居君のこともっと知りたいな…」

「…、そろそろ出ようか?」

「うん…」

焼肉屋を出ると昭和のパチンコ店のような煌びやかなネオンが灯る建物に泊まってしまったのだった…。


この日から―

彼女とは安いレートの店に一緒に麻雀を打ちにいったりするようになった、相変わらず人気嬢のようでいつだって飲みに行くとオレに金を出させようとはしなかった。

「私に飼われて見ない?」なんて言われて「冗談じゃないよ」なんて返していた。

楽しい日々が続いた、そんなある日、新しい展開があった。

「鳥居君、シーちゃんのモトカレって覚えてる?」

こんなことを聞かれた。

「あぁ、別れちゃったんだ」

忘れかけていた記憶が蘇る。

「アイツさ…」

彼女の言葉には驚きを隠すことが出来なかった…。



出かける時間なので後日談編に続く(終わる終わるサギ2回目)・・・ww
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嬢との麻雀 2

「あぁ、おかしな約束しちゃったかな」

熱いシャワーを浴びつつそんなことを考えていた、「ドタキャンしたらどうなるんだろう?」こんな弱気も顔を覗かせた。

「そんなこと出来るはずないか…」

色んなことが頭をかすめたが結局翻意することも出来ず着替えてまた外に出た。

待ち合わせ場所のファミレスまでは徒歩1分だが郵便局に足を向ける。

金のことは心配しなくていい、そんなことを言われた。だが当時はバクチなんて自分の甲斐性でやるもんだと思ってたものだからありったけの残高を下ろす。

麻雀は好きで毎日のように打っている、だが今回下ろしてしまったのは決して麻雀に使っていいものでもない。「負けたらどうすんの?」拭い去れない不安を抱えたまま若干重い足を引きずってファミレスへ。

時間ぴったりぐらいだったと思う、アキナちゃんはもう来ていた。昨日とは当然違う格好でタバコを吹かしながら携帯をいじっているとこだった、オレに気付くと右手を上げる。

「あっ、早かったですね」

「近所なんですよ、座っていいですか」

彼女の首が縦に振られたのと同時くらいに向かいに座るとコーヒーをオーダー、自分もタバコを咥える。

「それで…今日の麻雀なんですが…、あっ簡単な自己紹介くらいでもしますか。自分は―」

簡単な自己紹介を。

「あれ、タメなんだ。じゃあお互いタメ口でいいよね。私の店知ってるかな?親不孝の○○って雀荘の近くなんだけど」

「あっ、あの辺なんだ。」

同じく近所だった。

「知ってる?でね、今日これから打つって人は私の同僚のシーちゃんって人なんだ。」

「もう1人はその人の恋人だっけ?」

「うん、ホストなんだけど彼がこれまた強いんだなぁ」

「らしいね、負けたことないとか言うから実は不安でしょうがないんだ。随分と高レートだしね」

「そう、高いよね。あっ、そうだ。はい」

そう言うと彼女はバッグから封筒を取り出す、女の子同士が文通で使うようなポップな封筒だったが中には札がギッシリ入っていた。

「これはいいよ、一応オレもあるだけ持ってきたから」

封筒を返そうとすると

「えっ、いいのいいの。じゃあ終わるまで預かってて、遠慮なくそれ使ってくれていいから」

頑として受け取ろうとしないので

「じゃあもし足りなくなったらお借りするかもしれないってことで預かるね」

と言ってジャケットの内ポケットに封筒を収めた。

「ホントにそれ使っていいからね、いつもは女の子3人でその彼に挑んでるんだけど毎回返り討ちなの。1回くらい勝ちたいじゃない?だから鳥居君にお願いしたって訳、昨日打ってて強いなって思ったんだ」

自分の金なんてここには最初から無かったかのように彼女が言う。

「昨日はたまたまだよ、朝まで打って結局大半溶かしたし。それにあんまり寝てないから睡眠不足ってのも…」

始まる前から「負けた時の言い訳」のようなことを言った、実際体調はいいとは言えなかったけど額が額なだけにそんなものは何の「免罪符」にもならないだろう。

「あっ、そうだったんだ。じゃあ私と一緒に帰ればよかったね。負けたっていいんだって、私これでも結構稼いでるんだから」

勝負の前から情けないことを言うオレを彼女は豪快に笑い飛ばす、だが彼女の話が本当なら少しだけ気が楽になったような気もしていた。

「そうじゃなきゃ誰もやらないと思うけどやっぱり儲かるんだね」

思い浮かんだだけのことを口にして「あっ、失礼かな?」と思う。

「でも固定給がある訳じゃないからね、指名取ってナンボ。<1本>いくらってこと、さすがに待機所で寝てるだけじゃお金は貰えないよ」

気には障らなかったようで安心、<1本>ね…。

「ねぇねぇ、鳥居君は友達と麻雀したりする?」

<1本>の意味を考えていると彼女が聞いてきた。

「うん、するよ。でも皆打てるから勝つのは大変だね」

「あっ、私も強い人たちと打ちたい。ねぇ、今度混ぜてくれないかな?もしお金が足りなかったら体で払うから」

結構すごいことを言っているはずだがサラッとそう言うと彼女は体に<しな>を作ってみせる、それは自分が異性の目にどううつってるかを完全に熟知した人のものだった。

「あっ、レートがものすごく安いから絶対そんなことにはならないと思うよ。男ばっかだから皆喜ぶかも、今度おいでよ」

なぜか少しだけドキドキしつつそう答えた。

雑談は続く、話していると彼女は性だったり金だったりに関する感覚が自分と全く違うことに気付いた。「倒錯」している、と言っても過言ではないかもしれない。

「こんな仕事してるとね、顔が歪むの。マジだよ?鏡見るたび顔が歪んでいくのが分かるの」

「あぁ、そういうもんなんだね…」

少し話が場の空気とマッチしない方向へ向かってしまう、数秒の間があった。

「まぁ…、こんな話はいいよね。そろそろ行こっか?」

「あっ、あぁそうだね。」

短い間を彼女が切り裂くと立ち上がる、彼女はオレのコーヒー代すら自分が出すと言ってきかなかった。


彼女の店の近くまで歩いていく、あるマンションの前で彼女が立ち止まった。

「ここだよ」

「えっ、雀荘行くんじゃないの?」

「ううん、ここ店の事務所みたいなもんなんだけど自動卓が置いてあるんだ」

「オレ全く部外者だけど入っていい訳?」

お店の関係者からしたら「何しに来た?」って話になるだろう。

「誰も居ないから大丈夫だよ、ほら、行こう」

オレの腕を取ると彼女はマンションに入っていく、エレベーターに乗ると5階で降りた。

「はい、ここ。入って」

彼女がある一室の扉を開ける、恐る恐る入っていくと玄関に靴が無くて安心した。

「あれ、まだ来てないね?電話してみる」

先方はまだ来ていないらしい、部屋は事務所と呼ぶにはあまりにお粗末だったが続いている隣室に確かに自動卓が置いてあった。

「あぁ…来てる…今…待ってる」

隣室に行くと電話の声が聞こえてくる。

オレは、卓に屈みこむと一応簡単なチェックをした。ザックリ見たが仕掛けなどは無いようだ。

「後5分で来るって」

彼女がやって来て言う、「分かった」とだけ返事をした。

急にふと、後5分くらいで屈強な男たちがやって来ていきなりどこかへ連れて行かれるんじゃないだろうか?なんて恐すぎる想像が浮かんでくる。

なんだかそんなことを思い出すと現実になるような気がして逃げ出したくなるんだが数分後扉が開いて玄関の方から「ゴメーン」と女性の声がしてまた安心した。

「あっ、こんにちは。私シーって言います、そしてこっちが彼のにっ君でーす」

シーちゃんは我々と同い年くらいに見えた、そして遅れて入って来た彼を紹介する。

「やっ」

とだけ言って見るからにホスト然としている彼はオレの全身を値踏みするようにジロジロ眺め始めた、そんな変な格好はしていないはずだがあまり気分のいいものではない。

オレも簡単に自己紹介をした。

「アキナちゃんからレートとかは聞いてるよね?店始まるまでしか出来ないから5回ってことでいい?」

彼が聞いてくる

「いいですよ」

と、返す。

「じゃあ早速始めよう」

彼がそう言うと皆で卓に着いた、座順は上がシーちゃん、対面が彼、下がアキナちゃんだった。

「今日はアキナちゃんが連れてきた彼のお手並み拝見ってことで、よろしく」

彼が憎たらしいくらい自信たっぷりに言った。

「お願いしまーす」

女性陣も合わせる。

オレは黙って会釈だけするとサイコロボタンに手を掛けた。

いつもとは趣の違うバクチがこうして始まったのだった…。



思いのほか長くなったので続くw



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嬢との麻雀 1

彼女と出会ったのは深夜の雀荘だった。

終電まで酒を飲み帰れなくなってお通夜(徹マン)、いつものこと。そこでたまたま同卓してオレの上家にいた。

彼女の麻雀はまだ拙いものだったと思う、好きなように打ってあがれるか打ち込むか、そんな感じだ。

「ちょっと悪いかな」

偉そうにこんなことを考えたのだが精算の段になるとブランド物の財布からすっと現金を取り出す、財布には万券がギッシリ入っていた。

それを偶然見たからか、以降はもはや悪いなどとは一切考えなくなって普段通り打った。

こうして打っていて―、彼女の財布からオレのカゴへ何枚か万券の横移動があった時のこと。ワン欠けでしばし中断があった。

すると彼女が名刺を寄越す。

名刺には…「ファッションヘルス○○ アキナ」とあった。

「はい?」訝しいような気分、水商売っぽい風体だとは思ったがそういう業界の方だったか。しかしなぜ名刺など寄越したんだろう。

「あの…これは?」

「お兄さん、麻雀上手いですね。ちょっとお知り合いになりたいなぁって思って…今その番号にワンコール入れてもらっていいですか?」

「あぁ」と思う、いわゆる<営業>というヤツだろうか。だが当時恋人も居なければ麻雀しかしていないような時期だっただけに美人から連絡先を聞かれて悪い気などするはずもない、携帯を取り出すと早速電話を掛けてみた。

「あっ、来ました。ありがとう。ところでお兄さんのお名前は?」

「オレですか?鳥…鳥居です」

「了解です、今日はもう人が来ないみたいなんで私帰りますね。また連絡します」

こういうと彼女は帰り支度を始めた、近くに住んでいるのだろうか。

「じゃあ…また」

こんな間の抜けたことを言うと彼女は店を出て行った。

その後麻雀しかすることがなかったオレは他の卓が割れるまで待っていてさらに打数を重ねる、が、結局彼女に勝たせてもらった分の大半を溶かして朝方ほうほうの体で店を後にした。

「あーなんなんだよ」

そう一人ごちる帰り道、彼女のことなどすっかり忘れていた…。

――

ねぐらに帰って束の間の惰眠を貪っていると電話が鳴って起こされた。

ディスプレイには番号だけが表示されている、電話を取った。

「はい、もしもし?」

「おはようございます、アキナですけど…」

一瞬誰のことだか分からない、が、ふと顔を思い出す。

「あっ、昨日はどうも」

またも間の抜けたような挨拶をした。

「あの…ちょっとお願いがあって」

恐縮したような声で言う。

「私と一緒に麻雀打ってくれませんか?友達とその彼氏となんですけど」

唐突過ぎていまいち話の主旨が分からない。

「あぁ、麻雀打つのは別に構いませんけど。ちなみにレートはいかほどですか?」

「5-1-2って言って分かります?」

「えっ、随分高いですね。それだと―うーん、ちょっと自分には厳しいかもしれないです」

正直な気持ちだった、それに断っても角が立つというものでもないだろう。

「あっ、お金は私が出すからいいんです。鳥居君の麻雀の腕を見込んでお願い、付き合って」

夜まで「お兄さん」だったのがいつのまにか「鳥居君」に変わっている、金は出すというもののどこまで本気かも分からない。

「やっぱり自分じゃ役不足だと思うので辞退したいんですが…」

若干弱気になってそう言うと

「えー、お金は全部私が出すんだしもし勝ったら全部あげるよ。何もリスクないんだからいいじゃん」

いつの間にかタメ口になっている、だが彼女の話が本当なら考えようによってはいい話なのかもしれないと思いだす。

「そう?えっと…じゃあちょっとだけ参加してみようかな」

若いというのはある意味怖い、こんな思い切り胡散臭い話に乗ろうとしていた。

「ホントに?よかったぁ。早速向こうに電話してみる、多分今日の午後からなんだけど大丈夫?」

「えっ、今日なの?」

「向こうは打ちたがっていたから絶対やるって言うよ、それよりさ私たちも早く集まって作戦会議しなきゃ。○○ってファミレス知ってる?」

近所だった、「もちろん」と答える。

「じゃあ11時にそこで」

「あぁ、うん。わかった」

「鳥居君がオッケーしてくれてホントよかった、その友達の彼って人なんだけどね」

「うん」

「私もう何回も打ってるんだけど、実は負けたところ見たことがないんだ」

「―へぇ、そうなんだ」

「じゃあ遅刻しないでね」

こんなことを話しつつ電話を切った。

夢だったのかと思うがそうではない、時計を見ると眠りについてからまだ3時間も経っていない。

だが―

そんな強い人と高レートで打たなければならないかと思うと眠気はどこかへ吹っ飛んでいた。

「まぁ、なるようにしかならないか」

またそう一人ごちると足は自然とシャワーへ向かう。

自分のした約束の重大さを考える時間もない、彼女との待ち合わせまですらもうそんなに余裕がなかった…。


完結編に続く
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Author:バード(メン)
訪問ありがとうございます、天鳳やその他麻雀関連のブログです。天鳳で起こった出来事や麻雀を軸とした物語を実話だったり想像で書いています。天鳳ID:焦燥のバラッド(八段、鳳南民)

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